自動車教習所で必ず教わる踏切に差し掛かった際の「窓開け」。
ですが、公道で実際に「窓開け」しているドライバーはほとんど見かけません。
これは道路交通法の違反になるのでしょうか?
今回は踏切での「窓開け」をしなかったらどうなるのか?また、どうして教習所で推奨している理由も紹介していきたいと思います。
教習所で「窓開け」を教えるのに… 違反にならないの?
多くの人は自動車免許を取得する際、必ず自動車教習所に通います。
教習所では第1段階・第2段階と分かれており、第1段階では主に「所内」、第2段階では主に「路上」での技能教習が行われます。
そして教習で必ず教わる踏切の渡り方ですが、その際に一時停止して行うのが「窓開け」です。
教習所で習っているにも関わらず、多くの人が踏切で「窓開け」を実践していません。
では実際に「窓開け」しないと違反になってしまうのでしょうか?
結論:法律上は問題ない
道路交通法に踏切の通過方法について次のとおり定められています。
(踏切の通過)
第三十三条 車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。
2 車両等は、踏切を通過しようとする場合において、踏切の遮断機が閉じようとし、若しくは閉じている間又は踏切の警報機が警報している間は、当該踏切に入つてはならない。
3 車両等の運転者は、故障その他の理由により踏切において当該車両等を運転することができなくなつたときは、直ちに非常信号を行う等踏切に故障その他の理由により停止している車両等があることを鉄道若しくは軌道の係員又は警察官に知らせるための措置を講ずるとともに、当該車両等を踏切以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない。
(罰則 第一項及び第二項については第百十九条第一項第五号、同条第三項)
e-Gov法令検索 道路交通法より
踏切の手前では基本的に一時停止し、安全に通行できることを確認して通行することが義務付けられています。
ただし、信号機のある場合には、信号機の指示に従い一時停止しないで通行することができます。
道路交通法の条文には「窓開け」に関して明記されていない為、行わなかったとしても違反になりません。
なぜ教習所では「窓開け」を推奨しているのか
では、なぜ教習所ではしなくても問題のない「窓空け」をわざわざ推奨しているのでしょうか?
これにはきちんとした理由がありました。
「交通の方法に関する教則」に沿って教習しているから
教習所では道路交通法のほかに、国家公安委員会がドライバーの守るべき交通ルールやマナーについて定めた「交通の方法に関する教則」という教則に基づいて普段の教習の指導を行なっています。
第6章第1節の「踏切」という項目では、「一時停止をし、窓を開けるなどして自分の目と耳で左右の安全を確かめなければなりません」と記載しております。
その為、教習生に指導する際は、「窓開け」を推奨しているのですね。
踏切の警告機や遮断機が壊れている可能性があるから
踏切の警報機や遮断機も機械である以上、壊れる可能性もあります。
その際に頼りになるのが目と耳です。
一時停止した時目視による左右確認に加え、列車が近づいてきているか耳で確認することも必要なのです。
窓を開ける・開けない別として、踏切を通る際は目視確認に加え、少し耳を澄ませて音に対しても意識を配ることを忘れないようにすると、悲惨な事故にあう確率がぐんと下がります。
そもそも警告機や遮断機がない踏切もあるから
一部の運行本数の少ない路線には、警告機や遮断機がない踏切もあります。
その踏切に列車が近づいている場合、警告機や遮断機がない為、目だけでは判断の難しい状況もあります。
こう言った場面なら尚更、列車が近づいてきているか耳で確認することが必要です。
自らの命を守るためにも窓開けなど、十分な安全確認を行うようにしましょう。
まとめ
教習所で指導される、踏切前でのクルマの窓開けに関しては道路交通法に明記されておらず、極端な話でいえば義務というわけではありません。
しかし踏切事故は少なからず発生しており、安全に通行するためには必要な行為といえます。
列車はもちろんですが、踏切を渡ろうとしている他の車や自転車、歩行者などと接触するおそれもあり、目視だけでなく耳を使っての安全確認も非常に大切といえるでしょう。
「警告機や遮断機が作動していないから安全だ」と安易に判断するのではなく、目と耳の両方で安全確認を心掛けるようにしましょう。